村上市の朝日地区は、かつて養蚕業が盛んだった地域です。時代の流れとともに需要が少なくなりつつある養蚕。その伝統を未来へつなぐため、養蚕農家の女性陣を中心に発足した朝日村まゆの花の会が精力的に活動されています。
朝日村まゆの花の会
https://www.mayuhana.com/
会の活動のメインは、シルクフラワー(繭玉から作った造花)の製作と販売。色とりどりの鮮やかな繭玉から生み出される、本物そっくりのフラワーアレンジメントは驚くこと必至のクオリティーです。古くから縁起物として飾られてきた繭玉ですが、近年テレビで紹介されたこともあり、全国から購入希望の問い合わせが殺到。今では朝日地区を代表する特産品の一つです。
そして、会の活動拠点である朝日シルクフラワー製作工房では、シルクフラワーに気軽にチャレンジできるキットを販売しており、教えていただきながら作成することも可能です。
朝日シルクフラワー製作工房
https://www.sake3.com/spot/1445
華やかな繭玉の花束にひかれ、初めてのシルクフラワー製作体験に挑戦してきました!
(取材日:2023年2月8日)
まずはじめに、シルクフラワー製作体験への申込方法を紹介します。工房での体験を希望する場合、以下の3つの方法から予約できます。
①電話で予約
TEL 0254-72-0387(朝日シルクフラワー製作工房)
②公式サイトのお問い合わせフォームから予約
https://www.mayuhana.com/contacts
※info@mayuhana.comに直接メールでも可
③体験予約サイトから予約
●アクティビティジャパン
●じゃらん
なお、当日でも空きがあれば受け入れ可能だそうです。申込を終えたら、あとはその時を待つのみ。道具等は工房にすべて用意されているので、持参する物は特にありません。
そして迎えた当日、朝日シルクフラワー製作工房におじゃましました。
工房は、朝日みどりの里 物産会館に向かって左隣の建物です。
朝日みどりの里 物産会館
https://www.sake3.com/spot/199
工房の中へ入ってみると……
花!花!花!
まるで花屋さんのよう!
色とりどりの四季の花々が飾られています。
シルクフラワー製作体験は、1回につき1~20名様まで受け入れOKとのこと。今回は、ぜいたくなことにマンツーマンで指導していただきました。公式サイトによると、英語が話せる方もいらっしゃるので、事前予約で外国の方の受け入れも可能だそうです。モノづくり体験の楽しさに国境なし! 全世界にオススメしたいですね。
それでは、製作体験レポートSTARTです!
まずは、体験メニューを選びます。
先生(写真右・横井さん)から説明を聞きます。
体験メニューは以下の5種類。
①まゆ人形
②かご花
③ガーベラのコサージュ
④バラの花(3本)
⑤絹糸の座繰り体験(要予約)
私が選んだのは②の「かご花」。
好きな色の繭を自由に組み合わせて
自分だけのかご花を作ります。
初心者の私にもうまく出来るでしょうか……。
【工程1】
繭玉を選ぶ
繭玉の棚から好きな色の繭を5個選びます。かご花では、1個の繭から4輪の花を作ります。つまり、繭5個×4=20輪の花を作るわけです。
染料で染められた繭玉は本当に色鮮やか! 一つ一つの形や大きさに蚕の個性が出ていて、色の濃淡の出具合も千差万別です。どんな雰囲気のかご花になるのか、ここで決まると思うと、う~ん迷います……!!
暖色の同系色を組み合わせてみました。最後の1色に迷っていたら「白を入れるのも良いよ」と天の声(という名の先生のアドバイス)をいただき、実践してみました。
【工程2】
繭を半分切って、蚕を出す
いよいよシルクフラワーを作っていきます。
使用する道具類はこんな感じ。
すべて工房で用意されています。
繭玉を縦に持ち、普通のはさみで半分に切ります。繭のふわふわしたイメージから想像するよりも、意外としっかりとした切り心地です。切る時は、はさみにグッと力を入れました。
⚠下に蚕の写真(モザイク有)があります!!
中をのぞいてみるとお蚕様が! 蚕はカサカサに乾燥した状態になっていました。机の上にある蚕入れの缶に出して、中を空っぽにします。
【工程3】
花びらを作る
はさみを使い、繭の中心に向かって放射状に切り込みを入れます。花びらは5弁が基本とのことで、きれいに5等分に切り込みを入れたかったのですが、これがわりに難しい。「このままでは5枚目の花びらだけ、ものすごい幅広になってしまう……!」と焦っていたら、「6等分でもいいよ」という、またありがたい天(先生)の声が。
正直、かなりホッとしました。
ぐるっと一周切り込みを入れたら、花びらを押し開いてみます。
色と相まって、タコさんウインナーのよう。
次に、花びらの先端をピンキングはさみでギザギザに切ります。ギザギザが途切れないよう気を付けながら、一方でふちスレスレを狙うのがコツ。
一気に花っぽくなった気がします。
またはシャア専用ズゴック。
【工程4】
繭の層をはがして、分身の術!
繭は、蚕が紡いだ糸が幾重にも層になってつくられています。この層をはがすことで、さながら分身の術のように、同じ形の花を倍に増やします。
まずは目打ちを使い、ワイヤーペップ(花芯)を通す穴を開けます。
花びらの先端断面に目打ちを差し込みます。
目打ちで開けた隙間を少しずつ広げ、両手で同じ力加減でペリペリペリ……とはがします。
最初にはさみで切った時にも感じたのですが、繭って思った以上に丈夫! はがすと紙のような薄さになるのに、力を込めてペリペリしてもちぎれる気配もありません。薄さにビビッておっかなびっくり引っ張っていた私ですが、「えいや!」と思い切りよくはがす方が意外とうまくいくのかも。
1つの繭玉から4輪の花が出来ました。
今回の体験では、層を2分割するだけでしたが、先生たちが売り物のシルクフラワーを作る時には、さらにもう1層はがす時もあるのだとか。この状態からさらに厚さが半分になるなんて、きっと紙よりも薄くなるのではないでしょうか。本当に繭って丈夫なんですね。見た目はこんなに軽くてふわふわした印象なのに、繭の素材としてのポテンシャルに驚きです!
途中、神(先生)の手が手伝ってくれました。
ありがたい!
全部で20輪の花が出来ました。
並べただけだけど、すでにかわいい。
【工程5】
花を仕上げる
【工程4】の最初で開けた穴にワイヤーペップを通して花を仕上げていきます。ワイヤーペップの先端、白い玉のすぐ下に木工用ボンドを付けます。
ワイヤーペップを穴に差し込み、クルクルとワイヤーをねじるように回転させ、穴のふちにまんべんなくボンドを付けて固定します。
天(先生)から「あえて花びらを開ききらず、つぼませておいてもかわいいよ」とアドバイスをいただいたので、何輪かつぼませてみました。繭のまるっとした湾曲を利用して、開き始めたばかりの花のイメージで。
左から2輪目がつぼんだ花、それ以外は満開の花です。
【工程6】
花を挿していく
花が完成したら、あとはフラワーアレンジメントの要領で仕上げていきます。
今回は、かごではなく、陶製の花器をチョイス。中のオアシスにワイヤーを挿していきます。どんな感じで仕上げていくか、製作者の個性の見せどころです!
どう作っていこう…… と悩んでいたら、天(先生)に「(完成したら)どんな場所に置くかを考えながら挿すといいよ」というアドバイスをいただきました。置く場所を考えて作ると、あらかじめ正面を決めて挿していくか、360度どこから見てもきれいに見えるように挿していくかが自然と定まるので、挿しやすくなるのだそう。
「壁際の飾り棚に置こうかな~」と考え、正面を決めて生けることにしました。花の向きをきれいに見える角度に調整して……うん、確かに前を定めると、さっきよりも挿しやすいです!
最後にバランスを整えます。
全部の花を挿し終わりました。
かご花が出来るまでを3分程度にまとめています。
暖色で春っぽい雰囲気に出来上がりました!
天(先生)のアドバイスで入れた白がアクセントになって映えてます。和紙のようにも見える、ふわふわした繭の質感が優しい感じでかわいい! われながら大満足の仕上がりです。
最後にラッピングしていただきました。
モノづくりって楽しい!
繭玉にすっかり魅せられて
他の体験メニューもやってみたくなりました。
シルクフラワー製作体験
補足&まとめ
●通年で体験できます。
●所要時間は1時間~1時間30分程度です。
●電話・公式サイトのお問い合わせフォーム・メール・体験予約サイトのいずれかから申し込んでください。
※空きがあれば、当日の受け入れも可能です
●事前予約で外国の方も受け入れ可能です。
●受け入れ人数は1講習1~20人です。
●上記の体験メニュー以外にも、受講者の人数や年齢に合わせてメニューを提案できます。予約時にご相談ください。
●持参する物は特にありません。
色褪せることも枯れることもないシルクフラワーは、おみやげにもオススメです。一期一会の旅の思い出に、自分だけの花を咲かせてみてはいかがでしょうか。
朝日シルクフラワー製作工房
https://www.sake3.com/spot/1445
所在地 村上市猿沢1215
電話番号 0254-72-0387
営業時間 9:00~17:00
定休日 月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
駐車場 大型21台・普通車221台・障害者用5台
※朝日みどりの里の他施設と共用
製作体験メニューと料金
※料金は税込価格です
●キット代
・まゆ人形 …440円
・かご花 …770円
・ガーベラのコサージュ …770円
・バラの花(3本) …1,430円
・絹糸の座繰り体験(要予約) …2,500円
●講師料 …500円
※上記キット代にそれぞれかかります
公式サイト
https://www.mayuhana.com/