村上市が誇る伝統的工芸品の一つ、村上木彫堆朱。その技法は江戸時代に確立したといわれ、1976(昭和51)年には国の伝統的工芸品にも指定され、令和になった現在まで連綿と受け継がれています。木地に花鳥や地紋といった彫刻を施し、漆を幾度も塗り重ねる村上木彫堆朱は、使うたびに艶が出て、日ごと愛着が増していきます。
さて、今回は村上木彫堆朱会館で実施している人気アクティビティ、村上木彫堆朱の木彫体験(箸)に挑戦してきました。自分で模様を彫った箸は、きっと生涯の宝物になるはず!
(取材日:2022年1月6日)
今回、木彫体験にチャレンジしたのはこの3人。
会場の村上木彫堆朱会館は、JR村上駅からも近く(徒歩で約10分)、瀬波温泉からのアクセスも至便。観光・宿泊の合間に気軽に立ち寄れます。
ホールには、実際に使用されていた漆かきの道具等が展示されています。
1階ショールームでは、村上堆朱事業協同組合の職人が手掛けた作品の販売も行っています。
木彫体験の会場は2階です。
奥にいるのは村上木彫堆朱の職人さん。普段は研修施設として使われている部屋です。
撮影のためマスクを外しています。
講師の高橋 郁(かおる)さんです。高橋さんは、2017(平成29)年の「村上木彫堆朱若手職員育成事業」に3年間通い、彫りの技術を身に付けました。高橋さんのような若手が育ち、村上木彫堆朱の伝統がしっかりと受け継がれていることは、とても素晴らしいことです。
さて、木彫体験には2種類のコースがあります。
【1】箸
【2】急須台
われわれ3人は箸を選びました!
まず始めに、高橋さんが道具の使い方や彫り方を教えてくれます。
箸の木地(材質はヒバ)は作業台に固定されており、彫る部分にはあらかじめ模様となる下絵が描かれています。
彫る際には「ウラジロ」と呼ばれる特殊な彫刻刀を使います。
刃の形状がシダ植物のウラジロの葉に似ているため。
※諸説あります
ウラジロの刃は、片面は平らで、もう片方は△になっています。鉛筆を持つように握り、平らな方の刃を裏にして、下絵に沿って彫っていきます。
高橋さんがお手本を見せてくれます。
下絵を両脇から、斜めに刃を入れて谷を作るように彫ります。横から見るとV字にするようなイメージですね。
彫り方を習ったら、いよいよ実践です。
私べべは、小学生の頃に木彫体験をした経験があるのです……が、もはや20年近く前のこと。最初は「ピーッと線を引くように。」と慎重に彫っていたのですが、途中、不器用さがさく裂! 力の入れ加減が分からなくなりガリッ!とやってしまいました(*_*)
しばらく集中して彫っていると、なんとなくコツがつかめてきて、高橋さんにも褒められました! 褒められると伸びるタイプなんです、私!!
模様が終わり、最後にイニシャル(任意)を彫って完成です!
3人の出来栄え、いかがでしょう。大体40分~1時間程度で終わりました。最初は失敗しないか心配でしたが、気が付いたら夢中になって黙々とやってました。
箸はこのまま持ち帰ることもできますが、別途料金を払えば塗師が漆を塗って仕上げてくれ、自宅へ発送してくれます。せっかくなので塗りもお願いしました。どんな感じに仕上がるかは届くまでのお楽しみ!!
何度も漆を塗り重ねるため、完成品が届くまでに約2ヵ月かかります。
世界に一つだけの自分で作るアイテムはやっぱり愛着が湧きますよね。
急須台の方は、少し模様が複雑なので2時間くらいかかるそうですが、次回は急須台にもチャレンジしてみたいです!
村上木彫堆朱の木彫体験
補足&まとめ
●希望日の1週間前までに予約してください。
●体験受け入れは1グループ2~7名まで。1名で体験希望の方はご相談ください。
※修学旅行や研修等での体験受け入れは30名まで対応可能です。ご相談ください。
●体験受け入れは平日9:30~16:00です。土・日曜日や祝日に体験希望の方はご相談ください。
●体験時に削りカスが出ます。汚れたりはしませんが、気になる方は削りカスが付きにくい服装でお越しください。
●新型コロナウイルス感染症対策としてマスク着用、入館時のアルコール消毒にご協力ください。
村上木彫堆朱会館
所在地 村上市松原町3-1-17
電話番号 0254-53-1745
開館時間 10:00~16:00
休館日 不定休
駐車場 5台
公式サイト
https://tsuishukumiai.jp/
村上木彫堆朱の木彫体験
●体験料金
・箸 …800円
※塗りをお願いする場合は別途1,200円がかかります。
・急須台 …2,000円
※塗りをお願いする場合は別途2,000円がかかります。
●所用時間
・箸 …1時間程度
・急須台 …2時間程度