西奈彌羽黒神社(村上市羽黒町)の江見宮司による神事
2024年12月15日、三面川鮭産漁業協同組合 第三ふ化場(村上市羽下ヶ渕)にて、神事の水神様が執り行われ、主催する「せなみすみれの会」のメンバーをはじめ、高橋邦芳村上市長や漁協・観光関係者、江戸時代に鮭不漁から村上を救った藩士・青砥武平治[あおと-ぶへいじ]の子孫らが参列しました。
青砥武平治について
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供物を乗せて三面川に流す舟
今回で13回目を迎えた水神様は、1970年代に途絶えていたものを、せなみすみれの会が2012年に復活させ、今日まで毎年執り行ってきました。
神事では、水分神[みくまりのかみ]*や弥都波能売神[みづはのめのかみ]**の水にまつわる神々と三面川を含む一帯を鎮護する西奈彌羽黒神社の祭神、そして八百万神[やおよろずのかみ]に祈りを捧げ、この一年に川がもたらしてくれた鮭などの恵みに感謝しました。
*水の分配を司る神
**水の女神(他の漢字表記もあり)
西奈彌羽黒神社[せなみ-はぐろじんじゃ]
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せなみすみれの会 顧問・山貝世津子さん
神事の後、あいさつに立ったせなみすみれの会 顧問の山貝世津子[やまがい-せつこ]さんは、昨年から続く鮭の不漁に触れ、「自然が成すことに人は勝てないが、(水神様などの神事を絶やすことなく)祈り続けることで、村上の鮭文化を後世に伝えていくことができる」と話しました。
その後、参列者は三面川へ移動。供物を乗せた舟を流れに放ち、川の恵みへの感謝の思いを新たにしました。
※舟はその後回収します
供物は、お神酒と赤飯、そして鮭の一鰭[いちびれ]です。一鰭とは胸びれのことをいい、鮭が生まれてから死ぬまで休むことなく動き続けることから、生命力の象徴とされています。村上では、大みそかの晩にその年に出来た塩引き鮭をいただきますが、一鰭は神棚に供えられ、その後に一家の大黒柱である家長が食べます。
塩引き鮭について
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この日は、10/21から行われていた三面川でのウライ漁(一括採捕)が終了した日でもありました。村上の川で生まれた鮭が、4年にも及ぶ外洋での回遊を終え、生まれた川に再び戻ってくる。そのサイクルが絶えることなく、これからも鮭の恵みがありますようにと、村上では水神様をはじめとしたさまざまな神事が執り行われています。